3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を入れても現場が楽にならないのはなぜか?3PL活用のための3つの視点

「3PLに切り替えたのに、思ったほどコストが下がらない」
「現場は相変わらず人手不足で、担当者の負担も減っていない」
「3PLに任せているうちに、中身がブラックボックスになってきた気がする」

ここ数年、そんな声を多く耳にします。

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)は、
本来は物流のアウトソーシングを通じて、コスト削減や業務効率化を実現するための仕組みです。
しかし、“物流を任せること”自体が目的になってしまうと、期待した成果が出ないどころか、
新たな課題を生んでしまうことさえあります。

本コラムでは、
・ なぜ3PLを入れても課題が解決しないのか
・ 3PLを「コスト削減の手段」から「事業成長の仕組み」に変えるための視点
・ そのうえで、シーオスがどのように3PL・ロジスティクス課題に向き合っているか

を、具体的な事例を交えながらご紹介します。

目次

よくある物流の“モヤモヤ”は、3PLだけでは解決しない

運送業の工程のイメージ画像

まずは、多くの企業が抱えている物流の悩みを整理してみます。

・ 物流費が年々じわじわ増え続けている
・ 現場は常に人手不足で、ベテラン頼みのオペレーションから抜け出せない
・ 拠点や事業が増えるたびに物流が複雑化し、全体像がつかめない
・ 3PLに委託しているが、どこまで口を出してよいか分からない
・ SDGs・環境対応のプレッシャーはあるが、具体的な打ち手に落ちていない

こうしたモヤモヤに共通するのは、

「自社の事業戦略と、現場の物流オペレーションがつながっていない」

ということです。

3PLは、倉庫や輸配送といったオペレーションを支える重要なパートナーですが、
そのまま丸投げしても、戦略と現場のギャップは埋まりません。

3PLを入れても成果が出ない3つの理由


①丸投げによるブラックボックス化

ヒントをイメージする画像

「3PLに任せたから大丈夫だろう」と安心した結果、
物流の中身がブラックボックス化してしまうケースは少なくありません。

・ 委託前と比べて、どこでどれだけコストが変わったのか
・ 在庫やリードタイムは、本当に改善しているのか
・ 現場でどのような業務が行われているのか

これらが自社側で把握できていないと、改善の打ち手を議論する土台がなくなります。

②「自社のあるべき物流像」が言語化されていない

3PL導入の前に、本来は次のような問いに答えておく必要があります。

・ 自社の事業戦略にとって、物流はどんな役割を果たすべきか
・ 優先すべきKPIはなにか(コスト/リードタイム/サービスレベル/環境負荷など)
・ どこまで自社で持ち、どこから3PLに任せるのか

ここが曖昧なまま委託を進めてしまうと、
3PL側も「とりあえず現状を引き継ぐ」運用になりがちで、
抜本的な改善にはつながりません。

③ 拠点や事業が増えるたびに“継ぎ足し”になっている

国内・海外を問わず、事業や拠点が増えるたびに、
個別最適の物流が継ぎ足されていきます。

・ 事業ごとにバラバラなKPI・運用ルール
・ 似たような機能を持つセンターがいくつも存在
・ システムやデータが分断され、全体を見通せない

この状態のまま3PL化しても、“複雑な構造をそのまま外部に移しただけ”になってしまいます。

3PLを「費用削減の手段」から「事業変革の仕組み」にする3つの視点

①まず「あるべき姿」を一緒に描く

・ 自社の中長期戦略と、物流の位置づけ
・ コスト/サービス/環境負荷などの優先順位
・ 将来的な自動化・デジタル化の方向性

これらを3PL導入の前に整理し、“未来のあるべき姿”から、現在のギャップを特定することが重要です。

②自社と3PLの役割分担を、あいまいにしない

・ どこからどこまでを3PLに任せるのか
・ どのデータは自社で持ち、どこまで開示してもらうのか
・ KPIの設定とモニタリングの責任はどちらが担うのか

こうした役割分担を明文化することで、“丸投げ”ではなく“共創”の関係がつくれます。


オペレーション×システム×装置化(設備)を一体で考える

単に倉庫運営を任せるだけではなく、

・ 業務プロセスの設計・標準化
・ WMS・TMSなどのシステム導入・連携
・ ロボットやマテハン機器を含めた自動化・省人化

を一体でデザインすることで、持続的に改善し続けられる“装置産業としてのロジスティクス”へと近づいていきます。

シーオスの3PL・ロジスティクスソリューションの特徴

シーオスは、単なる「物流業務の受託」としての3PLサービスや、「物流業務の品質・効率を改善する」ためのロジスティクス・ソリューションは行っていません。

私たちが提供しているのは、

・ 目指すべきロジスティクス事業目的の具体化
・ 事業目的の達成に必要なオペレーション・システム設計
・ 物流の改善につながる省人化・可視化
・ そして、その先にある“装置産業化・自動化”

までを一貫して支援する、ロジスティクス・ソリューションです。

そのために、シーオスは次のようなアセットとメソッドを組み合わせながらプロジェクトを進めます。

・ 物流センターや配送拠点の設計・立ち上げ・運営ノウハウ
・ WMS/TMSなどの自社開発システム、データプラットフォーム
・ ロボットや自動化機器など、先進テクノロジーの適用
・ 共同配送・共同プラットフォームの構築実績

これらの取り組みは、公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会主催の
「 ロジスティクス大賞」を2度受賞するかたちで評価されています。

3PLの支援事例

以下では弊社が関わった企業の事例をもとに、3PLを導入やソリューション提供で、どのような事業改善が行われたのかを紹介します。

①大手ドラッグストア

課題:在庫とスペース、人手不足が同時に限界に

全国に店舗網を持つ大手ドラッグストアでは、
・ 店舗在庫が増え続けてバックヤードが手狭
・ センターの出荷能力も頭打ち
・ 人手不足で増員も難しい
という“三重苦”に陥っていました。

シーオスのアプローチ

・ 在庫管理と補充ロジックを根本から見直し
・ センター内のレイアウトとオペレーションを再設計
・ システムと現場ルールを一体で標準化

結果

・ 坪あたりの効率が約158%に向上
・ 配送リードタイムは3.05日短縮
・ 出荷処理能力は約187%に増加

倉庫を増やすのではなく、既存スペースと人員を最大限に活かす仕組みを構築しました。

②大手携帯電話キャリア

課題:全国に点在するセンターで固定費が肥大化

複数の事業やサービスを展開していた大手携帯電話キャリアでは、
全国にセンターが点在し、センターごとに運用もコスト構造もバラバラな状態でした。

シーオスのアプローチ

・ センターの機能を整理し、統廃合のシナリオを設計
・ “標準モデルセンター”のコンセプトを定義
・ 庫内業務を支える業務支援システムを開発・導入

結果

・ センターの統廃合により固定費を約29.2%削減
・ システム導入と業務標準化により庫内業務費を約36.7%削減

構造そのものをシンプルにし、標準化・デジタル化することで、
長期的に維持できる低コスト体制を実現しました。

③大手医療・食品メーカーの物流グループ会社

課題:事業ごとに分かれた物流を、どう統合するか

「食料・飲料」「医薬品」「日用品」という、性質の異なる3つの事業を抱える物流グループ会社では、
事業ごとに別々の物流プラットフォームが存在し、トラックや人員のムダが発生していました。

シーオスのアプローチ

・ 3事業で共通化できる機能を洗い出し、1つの基盤を共同活用する「共通プラットフォーム戦略」を設計
・ トラックの回転率を上げる配車・運行の仕組みを構築

結果

・ 配車時間を3時間から20分へ大幅短縮
・ トラックの回転率は約30%向上

事業横断での最適化により、設備投資や人員配置のムダを減らしつつ、
サービスレベルの向上にもつなげることができました。

3PL/物流の見直しを検討する企業が、今すぐ確認したいこと

3PLの導入・切り替えを検討する際には、次のようなポイントを一度棚卸してみることをおすすめします。

・ 自社の中期計画の中で、物流はどんな役割を担うべきか
・ 3PLに任せたい範囲と、自社で必ず握っておくべき範囲はどこか
・ コスト以外に、追いかけるべきKPI(リードタイム/在庫/サービス品質/環境負荷など)は何か
・ 現在の3PLやセンターごとに、業務プロセス・KPI・システムがどれだけ標準化されているか
・ 3年後・5年後に、どこまで自動化・省人化が進んでいる姿を目指したいか

これらが整理されているほど、3PLパートナーとの議論は具体的になり、
“委託したけれど現場が変わらない”というリスクを減らすことができます。

まとめ:3PLを「任せる」から「一緒につくる」へ ―シーオスにできること

3PLは、物流業務を外部に任せるための仕組みではなく、
事業成長や競争力の源泉となるロジスティクスを、パートナーと一緒につくり上げていくための枠組みだと、シーオスは考えています。

シーオスの3PL・ロジスティクスサービスは、

・ 単なる業務委託や請負からの脱却
・ オペレーション設計、システム、ロボットなど先進技術の活用
・ 省人化・可視化、その先の装置産業化

までを見据えて設計・実行していくことを前提としています。

ロジスティクス大賞を2度受賞したプロジェクトで培った技術とノウハウを活かしながら、
貴社の「いま抱えている物流の痛み」と「将来ありたい姿」をつなぐお手伝いができれば幸いです。

「うちの状況だと、どこから手を付けるべきか」
「既存の3PLを活かしながら、構造改革はできるのか」

といった段階のお話でも構いません。
まずはお気軽に、シーオスまでお問い合わせください。

SEAOSのサービス

シーオスが提供するサービスについてはこちらから

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この記事を書いた人

シーオスマーケティングチームは、ロジスティクス×テクノロジー「LogixTech」で社会をより良くすることを目指しています。顧客の課題解決を第一に考え、コンサルタントやエンジニアと密に連携しながら、物流のDXを推進する多様なコンテンツやイベントを企画・発信。単なる情報提供に留まらず、業界全体の変革を促すような価値創造に挑んでいます。

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